SSブログ

師走雑感 7        2011-12-24 [思索]

中国との取引きに私はこれまで継続して40年間携わっています。私の人生の半分以上の年数、中国の人達と付き合って来たことになります。この中、5年程は当時勤務していた商社で中国石材担当者として、そしてその後の35年は自ら立ち上げた石材商社の事業経営者としての立場でやってきました。敢えてこう書くのは、40年間中国石材にどっぷりつかって来た人間が一体何を言いたいのかと多少興味を持って聞いてほしいと思うからです。

さて、今、目の前の売手市場をどう乗り切るか、私は率直に言って残念ながらこれまでのやり方、考え方を変えない限り、生き残れない人達(企業)も出ると思います。換言すれば、常に自己の利益を最優先して来たやり方、考え方を考え直すということです。買手市場にあっては通じた経営手法に麻痺したままでは駄目と言いたいのです。しかし、実は、買手市場の時にどう振舞ってきたのかということなのです。そのような時でも取引相手の立場を考えた行動が出来たかということです。


例えば、有利な価格条件を得るために掛け引きをことの外、強く行い、相手の喜ばない条件を押し付けて来なかったかということです。仮にその様にしてうまくやって来た人が状況の変化を目ざとく感じ取り、やり方をすぐに変えたとしても容易にうまくいかないと思います。おそらく想像した以上の厳しい条件を飲む他ないかもしれません。そうしながら時間を掛け、信頼関係を打ち立てていかねばならないのでしょう。

一方、そうではなかった人達こそが、こういう場面にも誠意を持って心の通じ合う話し合いが出来るのです。大分抽象的な言い回しに聞こえ、分かり辛いかも知れませんが、事業経営において、教科書通りきちっとしたやり方があって、その通りにやれば間違いはないという必勝法がないのですから、一応抽象的な言い回しとなってしまいました。


しかし、参考までにこの点において、私自身がどの様な考え方でやって来たかを辿ってみます。中国で墓石を作るという時代の流れは1980年代の中頃に現実化し、その後本格的となりました。それまでは、日本での加工、そして韓国での加工が並行して行われていたところに中国でとなったのは、中国の市場経済への移行に伴う諸々の制度の変化とインフラの整備が急速に進んだこと、我国の仕入コストの低減という究極のニーズが咬み合って、あっという間に中国製品が日本市場に流入することになりました。中国側も墓石の輸出で外貨を得、安い労賃を武器に、扱い量も増え、加工技術も向上していったのです。同時に工場の数も増え続けたのですが、この頃はまだまだ労働者も喜んで石材業に就いてましたので、買手市場であってもそれ程大きな問題もなく、生活を謳歌していたようです。

 

年代的には19902000年の10年位でしょうか。この頃は表面的には日中の石材業界は共にうまくいっていたと言えます。そして、この時期は日本でバブル崩壊後の経営に問題を抱える企業が石材業界に参入して来たりして、それでもどうやらうまく行ったのです。それは、簡単に言うと未経験の異業種であっても中国工場が完成品を提供してくれて、しかも日本で作るよりもはるかに安い価格で手にいれることが出来たのですから、後は販売力ある企業がどんどん力をつけて伸びられたのです。言ってみれば、買手の思い通りに品物が手に入るというわけです。仮に不良品が発見されれば直ちにクレーム補償を取り付けることが出来たのです。しかし、中国側から十分な供給をしている中で石材業界に少しづつ変化が起きていたのです。というのは、中国側が気づいて見れば、過当競争の中であまり儲かっていないではないかという事がわかって来て、その為、中には粗悪品を出してくる等の傾向も現れ、ある時期中国品は安かろう悪かろうと見られてしまったこともありました。その後、中国はWTOに加盟することになり、貿易の自由化が一挙に進む頃から様子は更に変わるのですが、その話は後にしてその前の10年の間私が何を考え、なにをしたかについて書きます。


中国工場の数は増え、各々競って墓石を製造し、日本向に売り込みを掛ける様子に、私は売買の増大に対応して、供給の安定に不安を感じたのです。あの安い価格は需要を掘り起こすのは当然で、お墓は高い物と決まっていた所に安く販売出来るのですから、売れないはずはありません。石材店は国産や韓国産の墓石販売から中国産墓石を積極的に販売するようになっていきました。やがて市場は混乱するかもしれないと予測したのです。その為、私は取引先工場のいくつかの経営者を呼んで同盟を結ぼうと提案したのです。それまでは、出資した工場に全面協力を求めるのは当然ですが、それ以外の工場とは取引関係はあっても工場同士はライバルでしたから、この提案は勇気の要ることでした。が、案ずるより産むがやすし、参加工場の同意が得られました。この時の同盟が20年後の問題の解決の鍵となったのです。(つづく。。。)


nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:仕事

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。